歩いていたら大きな川が見えた

今は夜中で真っ黒な川

町の明かりもほとんど消え

水面には街灯の明かりが映っているだけ



水の流れる音が耳を撫でる

無性に・・・無性に怖かった

水たちの奏でる歌声は

昼間に聞くと心を癒してくれる

心地良い音のはずなのに 

そのはずなのに・・・

その音は私の心を

恐怖で捕らえていった



水面を見たら吸い込まれそうで

怖くて怖くてそこから逃げたいと思ってるのに

目がはなせなくて

足が動かなくて

ただただ水面を見つめている

その暗い水の底から

おいでって声がしているようで

引き込まれそうで。。。



水ってなんだろう・・・

飛び込んだらどうなるのかなぁ

きっとそこには違う世界がある

そんな、そんな感覚を覚えた

行ったら戻ってこれないんだろうなぁ

なんて考えながら 

背筋が震える感じがした

水面から見えない手が出て

私を掴んでいる

水面から目が離せなかった

怖いのに目が離せなかった

離させてくれなかった




その手を振り切り視線を動かすと

夜中なのに釣りをしている人がいた

それを見たら

今までの恐怖が嘘のように

笑い話みたいに

可笑しく感じた

私は一体何に怖がってたんだと





【水】 





それは生きていく上で必要不可欠なもの

時には人を襲い、そして命を奪う

利用しながらも操れない 

人はみなそこから生まれた

だから最後はそこに帰って行くのかな？

帰りたいと願っているのかな？





時々心の奥底から叫び声が聞こえる・・・

ダレカ・・・タスケテ・・・